過去の活動報告

【開催報告】第9回 近代の優れたリーダーに学ぶSL研究会

開催日時:
2016年5月24日(火)19:00~21:15
場:
レアリゼアカデミー
ファシリテーター:広崎 仁一:
NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会 理事

サーバント・リーダーシップは経営活動における「リーダーシップ哲学」であるとともに、すべての人が目指すことのできる「生き方」そのものであり、その人の人格や価値観に深く根ざしています。
そしてサーバント・リーダーとは、自分の使命を見出し、進んで人と社会に仕え、その「生き方」を通して、人々に“良い感化”を与えている人のことです。

今回は「宅急便」の生みの親であり、また現役引退後は“ヤマト福祉財団”を設立し、障害者福祉に全力を注いだ ヤマト運輸元会長の小倉昌男氏の生涯を取り上げました。
小倉氏は物流革命を起こし、日本経済界のランドマークのような存在です。その小倉氏が残した業績や「生き方」から、サーバント・リーダーシップの本質やその要素について共に学ぶひと時を持ちました。

 

はじめにこれまでの小倉氏の歩みを振り返りながら、その功績や取り組みに関する感想や気づきについて話し合いました。その後 SL研究会担当者(拙者)より、「優れたサーバント・リーダーの人間力の要素」~サーバント・リーダーの「生き方・あり方・(能力)」を構成する要素~として、以下の10項目の提示(仮説)がありました。

1.謙遜さ(Humility)
2.大義を抱く(Visionary)
3.高潔さ・真摯さ(Integrity)
4.奉仕する・尽くす(Service)
5.犠牲を払う・献身的(Sacrifice)
6.任用する(Empower)
7.元気づける(Energize)
8.熱意・信念(Zeal)
9.胆力・決断力(Courage)
10.やり続ける挫けない心(Execute)

この切り口で、小倉氏の「生き方・あり方」をまとめると以下のようになります。

1.謙遜さ(Humility)
・謙虚で旺盛な学習意欲を持っている。
・自らの手柄を語ろうともせず、つつしみ深さを持っている。
・飾らない人間性を持ち、自分を特別扱いしない。

2.大義を抱く(Visionary)
・「宅急便」という新業態をゼロから開発し事業化した。
・障害者の月給を1万円から10万円に引き上げた。
→「夢のような話」の実現を目指した。

3.高潔さ・真摯さ(Integrity)
・高い倫理観を持つ。
→企業が永続するためには、人間に人格があるように、
企業には優れた“社格”がなければならない。
人格者に人徳があるように、会社にも“社徳”が必要。
・三越百貨店との取引破棄
→当時の岡田社長の倫理観の欠落がどうにも許せなかった。
経営者に必要なことは倫理観、利用者に対する使命感。
・一旦退いた会長に復帰
→営業所長など現場のトップが車両や荷物の事故を
本社に報告せず隠すケースが増えていた。
→倫理や規律を取り戻すために会長に復帰し大掃除をした。

4.奉仕する・尽くす(Service)
5.犠牲を払う・献身的(Sacrifice)
・サービスが先、利益は後
→この順序を間違えたらいつまで経っても赤字で、お客様にアピールできない。
良いサービスを徹底してやればお客様が喜んで下さって、荷物は増えていく。そしてそれが利益を出す源泉となる。
・私財46億円を投じ「ヤマト福祉財団」を設立
・経営セミナー開催への時間・エネルギー・資金投下
・スワンベーカリーの開店に尽力
→恩着せがましさがない、「して上げた感」がない
●ノブレス・オブリージュ(地位の高い人の義務)の生き方を実践している

6.任用する(Empower)
7.元気づける(Energize)
・サービスは第一線の社員がやる。彼らがやる気を起こすか、
起こさないかでこのビジネスの勝負が決まる。
命令や監督をしない労働を実現しなきゃいけないと思った。
自発的、自律的な労働。 <逆ピラミッドの発想>
・「全員経営」という言葉を作り、
第一線の社員がみんな社長と同じ気持ち、同じ考えで経営する。
・障害者の能力を引き出して任用する。
ノーマライゼーションで障害者に笑顔が溢れる。

8.熱意・信念(Zeal)
9.胆力・決断力(Courage)
10.やり続ける挫けない心(Execute)
・これまで誰もやらなかったことに挑戦する。
そして、絶対にやり遂げるという覚悟を固める。
→「人がして欲しいと思うことをする」
・初めは四面楚歌。全員反対からスタート。
・官僚との闘い:運輸省、郵政省、厚生省との闘いに勝利する
・郵便以外の新しい物流インフラの構築
・福祉の現場で「経営改革」「意識改革」に取り組む

また今年出版された「小倉昌夫 祈りと経営」を通して、外では「官」と闘いながら、家庭内でも大きな闘いがあったことを知りました。

最後に研究会に参加された方々の発表やアンケート結果からは以下のような意見が挙がってきました。
・まずは「サーバントファースト」をキーワードに行動したい。次にビジョン(大義)について自己形成していきたい。
・サーバント・リーダーシップは手法ではなく考え方(哲学)である。
・優れたサーバント・リーダーの要素に、Empower & Energize がある。
・小倉氏の生涯を通して、サーバント・リーダーシップをより身近に感じることができた。
・人を動かすには順番が重要である。まず「仕える」ことから。
・小倉氏の私生活が、人生後半のヤマト福祉財団設立に繋がっていることを知り、きわめて興味深かった。
・大義に基づいたビジョンを作り、周りに宣言していきたい。
・サーバント・リーダーシップは哲学であると同時に行動であることが腑に落ちた。
・リーダーシップはスキルではなく哲学であり徳である。
・やり続ける挫けない心を持って、実践コミュニティ作りを地域と企業で継続的に努力していきたい。
・小倉氏の志の高さ、視点が高くぶれない点、人々に多くの良い影響力を与えたことを学んだ。
・多くの情報に基づき、大変勉強になる内容でした。想い、信念の大切さを改めて感じました。
・高潔さ、信念の強さの重要性を学びました。これからは何が大事かを教え、人にサーブしていきたいと思います。
・小倉氏の生き方を通して、Integrity を貫く姿勢と、それがもたらす周囲への Empowerment や影響力、効果を学びました。
・サービスを先にして、仕事をすること。弱い立場の人のために仕えることを学びました。
・小倉氏を福祉に注力させたものが理解でき、深く感銘をうけました。またフォロワーを働きやすくする特性が整理して学べました。
・自分もより正しくリーダーシップを行えるようにしたいと思います。
・高潔さ、倫理観を持ち、成し遂げる熱意が、小倉氏の人生から伝わってきました。