過去の活動報告

【開催報告】サーバントリーダーシップ第27回読書会(オンライン)を開催いたしました(2023年2月10日)

開催日時:
2023年2月20日(金)19:00~21:00
場:
オンライン(Zoom)
ファシリテーター:
藤岡 学

2023年2月10日(金)19:00~、サーバントリーダーシップ読書会(オンライン)を開催いたしました。

今回の範囲は、ロバート・K・グリーンリーフの「サーバントリーダーシップ」(金井壽宏監訳、金井由美子訳。2008年、英治出版)の93ページ「11.心の旅 (第1回目)」から、519ページ11行目(ページの最後)「私は自分の人生をこの仮説に賭けてみたい。」まででした。

今回の読書会には、初めての方が3名参加してくださいました。

参加者全員で回読した後、ブレイクアウトルームに分かれて意見交換しました。

サーバントリーダーシップ読書会

 

今回の範囲は、20世紀の米国を代表する詩人で、グリーンリーフの友人でもあったロバート・フロストの「指示(Directive)」という詩について、グリーンリーフが評論した小論です。象徴詩の評論ということもあって、参加者は頭を悩ませながらも、そこに描かれたサーバントリーダーシップの世界観を理解しようと、活発に意見が表明されました。

「グリーンリーフは、サーバントリーダーシップについてのこれまでの著述では、キリスト教の内部のみで理解可能な表現あえて避けて、一般の人にもわかるように書いているのではないかと思っていた。だが、この評論の最後の部分では、(キリスト教の本質理解の)円の中に入っていければ新たな希望が得られるかもしれないという書き方をしている。キリスト教の本質を理解できればサーバントリーダーシップの本質がわかりやすくなるということを言っているのではないかと思った。」

「フロストのこの詩は正しい人生のルートマップを提供してくれたとしても、提供された側の中が歪んでたり、自己の認知が歪んでいたりした場合は、うまく出口まで行けず、違った方向を見てしまったり、違った選択を取ってしまって、それを理解できなかったりすることがあることを示しているのではないかと思う。」

「象徴詩であっても、子供のように素直な気持ちでシンプルに受け取ることが大事。」

「一番共感したのは最後の部分。518ページの最後の行から519ページにかけて、グリーンリーフが「気づき」について「意識的な知識レベルの下では無限のもの」と言っているが、これは、仏教でいう阿頼耶識(あらやしき)、深い無意識の世界のことを言っているのかなと考えた。つまり意識の世界でいろいろなことを学んだり経験したりすると、かえって頭の考え方が固まって、それが逆に目隠しになっている。その目隠しを捨てるのは喪失感があり怖いことだが、目隠しを捨てた無の状態に慣れた時に初めて新しい気づきや別の気づきが得られることだと理解した。」

「現代のような何が正解かわからない時代においては、今までの成功体験はそのまま活きないことも多い。一度、成功体験を棚上げして、場合によっては成功体験の思い出を失う痛みに耐えることが肝心なのかもしれない。」

「詩という象徴で比喩的な表現を理解できる人は、準備できている人なのだろう。サーバントリーダーシップの本質は理解するのは大変だと実感した。」

「518、519ページで「気高さが試され」とか、自身の内面的な成長を「人は苦痛を超えて成長する」などと書かれているが、そういう体験を通して自身の内面を正しく訓練する。喪失感もたくさん体験することで「神の王国の秘密」を得て、その先にサーバントリーダーシップの本質があるのかもしれないと思った。」

「隣人とは、単に隣に住む人ということではなくて、自分が絶対に相容れない人のこと。本文の中に出てきたサマリア人というのは、2000年前のユダヤでは蔑まれ、差別されていた人で、今の感覚で言えば、犯罪者とか、異常者とか、多くの人が接触を避けようとする人のこと。キリスト教が説く隣人愛とはそういう人に対しても、自分と同じように愛を注ぎなさいという教えであり、決して甘いものではない。」

「510ページの「人は旅の終焉にいながら、また新たな出発点に立っている」の部分は、再び終わりがない旅に出発し、ずっと高めていくという旅なのかなと理解した。自分が進むからこそ、人を支援したり、方向性を示すことができるのだろうなと思った。」

「リーダーというと、常に先頭に立って、失敗せず成功しており、目標は常に達成しているようなイメージを持ちやすい。ところがそのような中でも人は皆、障害にぶつかりながら成長していくのだと思う。失敗をしても、そこで振り返り、気づきがあって、そして新たなものを見出して新たな旅に出るのだと思う。」

「499ページに「何度でも繰り返して読んでください。詩のほうから訴えかけてきますよ」と書いてある。自分にも繰り返し読んでいる名著と呼ばれる本がある。その時の年齢や自分が置かれている状況によって思うことが変わることは確かにある。」

「サーバントリーダーの属性としての気づきに着目した。最後にこの詩をもってきたことを考えると、自分への気づきがサーバントリーダーを強化するということなのではないかと思った。」

「サーバントリーダーシップの10の属性の中で、気づきはこの章の重要なポイントであるが、他の9つの属性にも関わってくることが書かれているように思う。」

「実用書だけではなく、たまには詩を読むようなこともしないといけないのだろう。」

「朝日新聞の記者だった近藤康太郎の著書「三行で撃つ」に、自分の必要で読む本とそれ以外の本を読みなさいと言っている。それ以外の本とは、古典的評価を得ている日本文学、海外文学とノンフィクション、それに詩であり、それらをバランスよく読みなさいと言っている。詩も読もうと思う。」

「私はこの詩全体を、映像で思い浮かべて、その中を私が歩いているという読み方をした。」

「この本を読むときは、言葉に対する理解をするというより、感じるようにしている。「考えるな。感じろ」」

「サーバントリーダーシップはハウツーではなく、哲学なのだなと改めて思った。」

「この心の旅を読んだ時、宇宙を歩いているような、地に足がつかないふわふわした中で読み終えた。討議のグループでたくさんの話を聞き、とても勉強になった。」

「今回の内容はさっぱりわからなかったのだが、自分が既成概念にとらわれていたというか、円の外側にいたからだということがよくわかった。リーダーを目指して壊して、また築いて、壊して、また築いていくのだと理解した。」

などのご意見・ご感想がありました。

 

次回は、3月10日(金)開催予定です。

当協会の読書会は、途中回からのご参加も大歓迎です!

みなさま奮ってご参加ください。