過去の活動報告

【開催報告】サーバントリーダーシップ第1章を読む会第1回を開催いたしました(2023年6月28日)

開催日時:
2023年6月28日(水)19:00~21:00
場:
オンライン(Zoom)
ファシリテーター:
NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会 理事長 真田茂人

2023年6月28日(水)19:00~、サーバントリーダーシップ第1章を読む会を開催いたしました。

今回の範囲は、ロバート・K・グリーンリーフの「サーバントリーダーシップ」(金井壽宏監訳、金井由美子訳。2008年、英治出版)

・35ページ1行目「はじめに」から
・58ページ3行目「夢がなくては始まらないのだ。」まで

でした。

サーバントリーダーシップ第1章を読む会

 

■36ページの冒頭、知恵と学問について

最も共感した。学問を知識が多いことと置き換えると、知識が多ければ実践的な知恵があるかというと必ずしもそうではない。工場の現場の人で決して読書家ではないが、実践的に優れている方もいたり、若者を育てるのがうまい人もいる。経験から来るものが大きいのかなと思う。

リヤカーで野菜を売る行商から始め、年商1千億円のスーパーマーケットを起業された方とお話したことがある。その人は高卒で、しかも高校の時からリヤカーを引いていたため、高校もろくに行っていないので勉強の偏差値は低いが、人間偏差値は高いと自分で言っていた。その人のことを思い出した。

頭がいいとはどういうことかというテレビ番組がやっていた。偏差値が高いから頭がいいというわけではなくて、未知の状況を乗り越える力がある人のことだと言っていた。偏差値は高い方がいいが、それだけではないということを実験で証明していた。まさに人間力のことなのかなと思った。

 

■37ページの最後、研修コースの指導者を任された

グリーンリーフは現場で働いた後、23歳で研修コースの指導者を任された。年上の作業長の会議を指導する役割で、おそらく相当苦労したのではないか。その環境や経験から、下支えするリーダーシップの大切さを理解したのではないか。

 

■36ページの8行目、こうした大規模な組織は人々にあまり奉仕していない

大きな組織が人々に奉仕しているかどうかという視点に驚いた。日本だとまだ昭和の初め頃の話で、組織が庶民に奉仕するという概念がなかったのではないか。当時はまだ日本では組織の利益が優先されていたと思う。今でもまだこのような意識は少ないかもしれない。このような意識があるからサーバントリーダーシップという概念にたどり着いたのではないかと感じた。

今でこそパーパス経営やSDGsという考え方が出てきたが、一体、日本で何年前から言われるようになったか。おそらく10年前はまだそういう考え方はあまり出ていなかっただろう。それだけグリーンリーフは視座が高かったことが伺える。

行政機関は公共のためのものではなかったのかと言いたくなる。企業が自社の利益を追求するのは分かる。行政機関も公共のために動いていなかったのか・・・と驚いた。ショック・ドクトリンという書籍に、この時代のアメリカではイケイケドンドンで、国ですら自国が儲かるためにいろんなことをやってきたと書かれている。そんな時代でもグリーンリーフは公共の福祉のために奉仕するという高い視座を持っていたのだと感じた。

 

■39ページ4行目、フォロワーには自分たちを導く有能なサーバントにだけ反応してほしい

リーダーがリーダーシップを高めていくだけではなく、フォロワーにも注目しているのが本書の特徴だと思った。

フォロワーにも識別能力と決断力を求めているのは、非常にハイレベルだと思う。有能なサーバントにだけついていくという決断力が必要ということだろう。

今までフォロワーに注目していなかった。フォロワーとは、自分では決められなくて、リーダーについていけばいいやという人だというイメージがあった。

フォロワー自体が受け身であることを良しとせず、自分で有能なサーバントを識別して、サーバントについていくことを自分で決断することをフォロワーにも求めている。

 

■46ページ15行目、「求道者」こそが、預言者を生み出すのだ。

世の中の問題点を正確に見通して意見を言う人のことを指していると理解した。そういう人は、今でもいろいろなところにいるのだと思う。それを聞く側の関心や探求心のレベルによって決まると言っている。今の時代、インターネット上に様々な意見があり、フィルターバブルという言葉があるが、一体どれが正しいのかと聞く側の主体性や判断力が求められているのかなと感じた。

求道者とは、フォロワーのことを指していると理解した。我々がフォロワーだとすると、学問を学ぶよりも道を求めるようなあり方が大切なのかもしれない。

 

■48ページ12行目、彼らが自らの意志で応ずるのは・・・

ここはまさにフォロワーに要求される決断力のことを指しているのだろう。中小企業だと、威圧的な社長の下では、人が皆、転職という形で逃げていく。かつて、創業30年の会社にもかかわらず、社員の社歴が3年以内という会社があった。そういう状態ではなかなか利益が出なかったが、社長が社員の定着を高める方向に舵を切ったところ、だんだん利益が出るようになった。そういう意味では、大切なことなのだと思う。

 

■51ページ8行目、何百万という孤独な人々・・・

私たちのような普通の人間が生きている中で、世の中の希望が育まれているというのは、一般人である私たちがサーバントに近づいていける希望の言葉として理解した。

 

■53ページ9行目、そもそもリーダーである人、並々ならぬ権力への執着があり、物欲を満足させる必要がある人・・・

論語でいう人間的に立派な君子と物欲に支配されるような小人の対比のように語られ、サーバントリーダーも対比で語られているが、現実の私たちは両方の性質が混じっているのだと思う。どちらに行くか常に揺れ動いているのだろう。

 

■54ページ1行目、他人にとって優先順位の高いものがその人に与えられているかどうかを気づかう・・・

単に奉仕する人の自己満足ではなく、奉仕される人が成長しているか、健康になっているか、一部の人ではなく権力のない人にも及んでいるかまで気遣って行動を起こすことが大事だと気付かされた。

自分の利益のためではなく、相手のかゆいところはどこだろうかと探りながら奉仕することが大切ではないか。

 

■55ページ7行目、奉仕するふりをしている人と、従っていくべき真のサーバントを見分けられるようになる・・・

ここで言うのは、フォロワーがリーダーを選別しているということだ。一般的には、白馬の王子様のごとく、すごいリーダーが現れるのを受け身で待っていることが多い。「うちのトップはサーバントリーダーではないからダメだ」と思うのは単なる依存心である。自分の運命を決めているのは自分ではなく、リーダーだということになる。しかし、そうではなくて、自分がリーダーを選ぶのだ。自分が選ぶことによって、サーバントリーダーを育てるということなのだ。一人一人がリーダーであり、フォロワーとしてのサーバントであるし、状況によってはリーダーとしてのサーバントであり、全員がサーバントリーダーであるべきだと言っていると理解した。

 

生まれ持ったサーバントリーダーは本当に少ないと思っている。一方で、もともとはエゴ的なリーダーだった人が途中からサーバントリーダーに変わることは大いにあると思っている。専門家によると、理性を司る脳の前頭前野は30代前半になってやっと完成するらしい。逆に言うと、20代ではまだ完成していないらしい。20代までは好き勝手やっていた人が、年齢を経て別人のように言うことが変わることがある。サンクゼールの久世さんがよい例で、リーダーとして180度変わった人だ。

 

などのご意見・ご感想がありました。

 

次回は、7月20日(木)開催予定です。

みなさま奮ってご参加ください。