2024年3月8日(金)19:00~、サーバントリーダーシップ読書会(オンライン)を開催いたしました。
今回の範囲は、ロバート・K・グリーンリーフの「サーバントリーダーシップ」(金井壽宏監訳、金井由美子訳。2008年、英治出版)の
・66ページ6行目「知ることができないものを知る-意識的な理論を超えて」から
・84ページ10行目「精神が大事だということを示す、素晴らしい話である。」まで
でした。
全員で会読した後、ブレイクアウトルームに分かれて意見交換しました。
■69ページ12行目「予見」
「これだ!」と決めて一つのことをやりきる予見力、そして、将来これが自分にとって大事なものになるに違いないと見極める予見力が大切だと示されたように感じた。
企業の経営者は見えない未来に向かって決断していかなければならない。その勘がいい人と悪い人がいる。その差は経験の有無ではないか。
「今」という時間のとらえ方が面白かった。
■72ページ14行目「リーダーが予見できない場合、道徳的な失策と思われてしまうかもしれない」
「道徳的」の部分は、英語の原著ではethicalとなっており、倫理的という意味でもある。
「道徳的な失策」とはなんだろうかと話し合った。判断の間違いが善悪の判断に変わってしまうように読めた。ここでは、本当に「失策」かどうかはわからないが、周りから「失策」と思われてしまうところがポイントで、それで失敗をしていくリーダーが多いのではないか、と話していた。あるいは、予見できたかもしれないのに、ためらって行動しなかったために「失策」とされてしまうこともあるのではないか、という話もあった。
■76ページ7行目「一歩下がるという手段だ」
『新約聖書』「ヨハネによる福音書」8章5節と7節(注)のところで、キリストが周囲の圧力に屈せず一歩下がって、その場をうまく収めた。このような瞬時の判断ができる人になりたい。
(注)姦淫を犯した女への石打の処刑を求める民衆に、イエス・キリストがしばしの沈黙の後、「罪なき者が石を投げよ」と答えた。
■77ページ1行目「説得―ときには一度にひとりずつ」
リーダーはゆっくり丁寧に対応していかないといけない。
最近、マンデラ大統領の書籍を読んでいる。牢屋に入っているとき、周りの人とうまくやっていくために監視の人々が使っている言葉を少ない書物で覚えてコミュニケーションを取ることから始めた。そこから仲間を増やし、自分の信念を形にしていった。「ひとりずつ」対応するという地道さがリーダーには欠かせない資質なのではないかと感じた。
物事を強引に進めてはダメだ。南北戦争の100年前に奴隷解放を訴えたジョン・ウールマンのように30年に渡り、地道に説得していく努力が重要だと思った。
■83ページ5行目「彼の呼びかけに応えて国民高等学校を立ち上げたのだ」
預言をするのはどのような人なのか。イーロン・マスクのような企業をけん引する人たちは、もしかしたら預言者なのではないか。彼らは自分たちの目指しているところを信じて疑わない。彼らは社員たちに夢を語って、その中で気づいた人たちが立ち上がり、「これをやろう」と決心する。グルントヴィの例にもあったが、彼の呼びかけに応じて貧しかった19世紀のデンマークの人々は国民高等学校を立ち上げた。誰かが語り掛けることによって人々は気づいたのではないか。彼らこそがサーバントリーダーなのではないか。明治時代に福沢諭吉が『学問ノススメ』を発表し、それに応えた人たちが東京に出てきて大学に行き、勉強したのではなかったか。そういう役割を、現代では起業家が担っているのではないか。
などのご意見・ご感想がありました。
次回は、4月12日(金)開催予定です。
当協会の読書会は、途中回からのご参加も大歓迎です!
みなさま奮ってご参加ください。