過去の活動報告

【開催報告】サーバントリーダーシップ第6回読書会を開催いたしました(2024年6月14日)

開催日時:
2024年6月14日(金)19:00~21:00
場:
オンライン(Zoom)
ファシリテーター:
藤岡 学

2024年6月14日(金)19:00~、サーバントリーダーシップ読書会(オンライン)を開催いたしました。

今回の範囲は、ロバート・K・グリーンリーフの「サーバントリーダーシップ」(金井壽宏監訳、金井由美子訳。2008年、英治出版)

・131ページ10行目「リーダーシップ -コンセプトと運営」から
・150ページ8行目「できるだけ早く」まで

でした。

全員で会読した後、ブレイクアウトルームに分かれて意見交換しました。

サーバントリーダーシップ読書会

 

■131ページ10行目「リーダーシップ―コンセプトと運営」
コンセプトと運営の箇所で、今の経営理論でいう両利きの経営のような示唆が表れていた。両利きの経営とどのような違いがあるのか、見ていきたい。
(注)両利きの経営:オライリーとタッシュマンが唱える、知の探索と知の深化の両面を目指す経営。変化に適応して成長し続ける企業経営の条件とされる。

 

■131ページ12行目「運営する人間とコンセプト策定をする人間が絶妙なバランスで混ざった経営陣」

会社で業務改革の業務を行っていると、非常に身につまされる。運営に流されてしまうと、みなさんにコンセプトを腹落ちするまで納得してもらうのが難しい。そして、コンセプトを腹落ちしていないと、結局元に戻ってしまう。
この「絶妙なバランス」の「絶妙」とはどの程度のものか知りたい。実際にそういうバランスが大切なのだろうと感じた。

 

■142ページ16行目「トラスティの自発的活動は、充分な補助金に支えられるべきだ。」

トラスティは手厚く保障されるべきだという記述が多いと感じた。トラスティの身分を保障する必要性を感じた。

 

トラスティを自分の職場に置き換えて理解すると、自分の場合のトラスティは人事担当者なのだろうと思った。人事担当者は上に対しても下に対しても指摘ができ、いろいろアドバイスをくれる。

 

トラスティは、メンターやコーチのように自分の外にいて自分のことをよく知っており、行くべき方向のアドバイスをくれるが、実際に行動するのは自分であると理解した。みなさんからいったん自分のレベルに落として理解し、それを大きく広げていって理解すればよいのではないかとアドバイスをいただき、納得することができた。

 

■143ページ3行目「組織としての大学」

日本では少子化が非常に進んでいて、コロナの影響で1年間の出生数が80万人を切ってしまった。
あらゆるところで若い人が足りない。今、大学の入学者数は年間62~63万人いるらしい。文部科学省は2040年には年間50万人を切ると推計を出しているし、もっと減るのではないかと言う人もいる。現在800校くらいある大学のうち、200校くらいつぶれてもおかしくない厳しい状況にある。とくに女子大学は最近では人気がない。そのような状況で学生満足度を上げる取り組みについて、他の参加者から聞けたのは貴重な経験だった。

 

今取り組んでいるのは、学生主体の授業をやって学生の満足度を上げるということに尽きる。人は、自ら進んでやる仕事は楽しいが、やらされる仕事は楽しくない。大学でも教員が学生に何かをやらせるのではなく、学生が自分の興味に基づいてやっていく。そして、今一番必要な能力を大学でつけていく。日本型システムが効率的に発揮されていた時代は日本型システムを覚えることが優秀な人の条件だった。今は新規事業開拓をできる人が優秀な人とされる。そのために提案能力を持たなければならない。提案は、思い付きであれやろうこれやろうと言ってもダメで、「この資料を見てください」「このデータを見てください」と根拠を見せれば、納得してもらえる。これが研究能力であり、大学で行っている学問である。

誰しも興味を持っていることに疑問を持つ。興味があるからこそ疑問が出てくる。疑問が出てきたら仮の説(仮説)を出し、この仮説に説得力を持たせるために根拠を持ってきて論証する。以前から大学で行われている研究能力をしっかりと身につけた人が社会に出ていき、仕事に応用していく。これによって、新規事業が立ち上がれば、会社も活性化するのではないか。

そのためには、147ページ9行目「対等なメンバーによる合議制」により、みんなで考えていくシステムが必要なのではないか。

 

主体性を持ち、だれもがリーダーになり、チームで様々な考えや価値を尊重し、よりよいものにしていくことが大切。

 

組織の健全性が重要なポイントなのではないか。経営をするときに経営だけを見ていてはダメだろう。コンセプチュアルという考え方も、組織がどこに向かっていくのかということが重要なのだろう。とくに、閉鎖的な組織の組織風土を健全にするためには、いわゆるウェルビーイングや共通善という考え方を取り入れないといけないと考えている。

 

学生の多くは自己肯定感が低いと感じている。授業でも自分から主体的に発表できるように導きたいが、受け身で自信がなく、なかなか発言が出てこない。しかし、現場の実習に行くと楽しいようで、意欲や関心が出てくるように見受けられる。

 

国に守られている組織の場合、運営さえすればいいとなりがちである。目標があり、それを達成すればいいだけであれば、コンセプトがないままでも達成できてしまう。それでよしとするから主体性が育たないのではないか。

 

などのご意見・ご感想がありました。