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【開催報告】サーバントであれ 奉仕して導く、リーダーの生き方_第一期第6回(通算第94回)東京読書会

開催日時:
2018年12月21日(金)19:00~21:00
場:
レアリゼアカデミー

【会読内容】
素晴らしい生き方
・グリーンリーフは講演の冒頭で、聴衆である大学1年を終えた学生達に、「今後の三年間の過ごし方をしっかり管理してほしいと思います。卒業するときに、素晴らしい生き方を会得できているように。姿勢と価値観、道を授ける方法や対応後方を身につけ、公共の利益に奉仕して栄誉を担えるように」と励ましの言葉を掛けました。

・そして「職業というのは、自分の才能に合ってさえいれば何でも天職になります(中略)豊かな生き方をすれば、それは前触れとなり、やがて社会のどこか一部を、そうした生き方をしなかった場合より少し良い状態で残すという、素晴らしい影響をもたらします」と続けました。

・“少しずつ進むこと”は、グリーンリーフが説くサーバントリーダーシップの特徴の一つです。社会は「分別ある人々の多大な努力」により建設されてきており、これを継承することが重要であるとのグリーンリーフの思いがうかがえます。

・グリーンリーフは学生達に、大学時代においても世の中に対して自律的に対処することを重ねて求めていますが、同時にそのことに夢中になりすぎて「自分の性格を変えないように」とE.B.ホワイトの「街角から二本目の樹」(注)という短編を引き合いながらアドバイスしています。大学生ともなれば、ある程度まで人格が固まってきており、その年齢で無理をして自分を変えることに注意を喚起したのです。
(注)エルウィン・ブルックス・ホワイト(1899年7月11日-1985年10月1日)米国の作家、詩人、評論家。上記の著書の翻訳は、「ニューヨーカー短編集2」(早川書房、1969年)

・さらに米国の科学者エドゥイン・H・ランド(注)の「高い価値を持つ世代、科学の時代の大学とは何か」というタイトルの講演から「(高い価値とは)天才ではない多くの人のために(中略)自分の得意分野でものごとをよくすること。得意分野でほかの人たちを喜んで助けられるようになること。自分がいなければ加えられなかったものを得意分野に加えることなのだ」というフレーズを引用して学生を励ました。
(注)エドゥイン・ハーバード・ランド(1909年5月7日 – 1991年3月1日)、米国の発明家。ポラロイド社を創立した。

創造性を育む
・グリーンリーフは学生達に創造的であるように求めました。それが本当の活躍、公共の利益のための価値ある貢献の源泉であるからです。創造的でなくとも社会的に成功することはあるとしつつも、社会に対して建設的な影響を与えるには創造性が不可欠だというのが彼の主張です。

・そして「価値のある貢献をするのに年齢は関係ない」と、グリーンリーフが長年在籍した当時米国はおろか世界最大の企業ともいえる通信会社のAT&Tを62歳から75歳にかけて設立したセオドア・N・ヴェイル(注)や80歳から84歳という高齢でカトリック教会と世界の宗教界の歴史上の大転換を成し遂げたローマ教皇ヨハネ23世(注)を挙げています。創造性は若いうちに開花し、人生を通して育まれますが、それを発揮するチャンスがいつ到来するかわからないと語り、人生を通して創造的であり続けることを求めました。そして創造性がとてつもなく貴重な才能であること、学生たちが自分に備わる才能に注意し、それをかけがえのないものとするようにと訴えました。
(注)セオドア・ニュートン・ヴェイル(1845年7月16日-1920年4月16日)郵便や電信の世界で活躍した実業家。AT&T(American Telegram & Telephone)社の創設者。
(注)教皇ヨハネ23世(1881年11月25日-1963年6月3日)、1962年にピウス12世のあとをついでローマ教皇に就任。第二バチカン公会議を招集して、諸宗教対話やカトリック典礼の刷新を図った。

・また、学生たちに「予見」の技術、つまり対処すべき事項を他の人より早く予測する能力を磨くようにとアドバイスしています。予見力は未来を生きる能力であり本当のリーダーに必携のものであると訴えます。

・さらに、「夢を先延ばししているなら、夢に生きることによってその夢を実現してください―状況がどんなに希望を打ち砕かれるようなものであっても(後略)」とグリーンリーフの友人でもある詩人ロバート・フロスト(注)の「こんなにも豊かな人生を歩んでこられた」の一節を引用して、人生を前向きに情熱的に生きることをまだ若い学生たちに求めました。
(注)ロバート・リー・フロスト(1874年3月26日 – 1963年1月29日)、20世紀米国を代表する詩人。自然生活や哲学的な内容の作品が多い。

新たな倫理観を確立する
・「みなさんの世代はおそらく、モーセの時代以来初めて、自分たち自身の倫理観を確立するという問題に取り組むことになります」とグリーンリーフは語りました。話を聞いていた学生(と本書を通してこのことばに接する読者)にとって、にわかに理解しがたいことかと思います。

・この時代(1960年代)は従来の規範が社会から受け入れられなくなり、倫理観や道徳律についての社会的意見の合意が難しくなってきた時代でした。その時代に生きる人々に対して、グリーンリーフは「人はみなどんなときもみずから、神学者であり、倫理学者であり、価値を見出す人であり、またそうでなければなりません」と多様な意見が存在する中で、自己の道徳心に対して、毅然たる姿勢を示すことの重要性を説いています。

・グリーンリーフは、彼の友人である詩人のロバート・フロストから彼の「Directive」という詩の一節を引用します。「今までに 君が迷ったあげく やっと自分の道を見つけたなら、 /自分の後ろに梯子路を引っ張りこんで/私以外には、すべての人に「通行止め」の札を出すことだ。/そうやればもう安心だ」。グリーンリーフにはこの詩全体を評論した著作(注)があるぐらい思い入れの深い詩です。
(注)グリーンリーフの「サーバントリーダーシップ」(金井壽宏監訳、金井真由美訳、英治出版、2008年)に、第10章として所収されている。
・グリーンリーフは聴衆である大学生に対して、彼らが個人としても社会としても創造的チャンスを目の前にしていることをうらやましいと思うと伝えています。そして数千年の歴史を重ねてきた従来の倫理観の上に、新しい倫理観を重ねて、次世代に伝えていくようにと期待をかけました。

知恵の向上
・新たな倫理観の確立に向けて自分を高めるために大学での残り3年間の生活を充実させるように、とグリーンリーフは学生たちに説きます。大学の授業はそこに導いてくれるものですが、そこで得られるものは知性であり知的な成長です。グリーンリーフは大学の授業での知的成長とともに、知性とは異なる知恵を身につけるようにと説きました。授業と試験の結果のみで自身を賢いと思いがちな学生に、学問の名声の傍らで起きる悲劇により精神が崩壊する学者を描いたソール・ベローの「ハーツォグ」(注)という小説を推奨しながら学生に注意を喚起したのです。
(注)ソール・ベロー(1915年6月10日- 2005年4月5日)。上記著書の翻訳は、早川書房より刊行されている(宇野利泰訳、単行本1970年、文庫本1981年)

・また学生たちにアルコール依存症や結婚生活の破綻といった事例は教育の有無にかかわらず等しく存在し、それを防ぐのは知識ではなく知恵であるとも述べました。

・知恵や良識(common sense)、非凡な感覚(uncommon sense)は、普通の人には「体系化も教育もできないとグリーンリーフは述べ、それが可能なメンターに実地に習うとともに彼らの感覚がとらえたものを聞き出すことで自らの感覚を磨くように勧めました。米国第3代大統領でもあるトーマス・ジェファーソンが起草したアメリカ独立宣言、合衆国憲法草案としてのバージニア州憲法草案は、ジェファーソンがメンターのジョージ・ワイスから多くの影響を受けたことを例に挙げ、学生達にこうした教えを授けてくれるメンターを見つけるようにとアドバイスしました。

・「現実の状況で自分の判断や思いきった決定を確かめることによってのみ、―そして、経験からしか教われないことを積極的に学ぼうとしてこそ―、知恵育むことができます」とグリーンリーフの親友でもあるユダヤ教の学者でラビ(聖職者)であるアブラハム・ヨシュア・ヘシェル(注)の小論「知恵を育むこと(To Growth in Wisdom)」を読むことを推奨しました。
(注)A.J.ヘシェル(1907年1月11日-1972年12月23日)、20世紀を代表するユダヤ教の神学者であり
聖職者。グリーンリーフとは晩年に交流があり、「サーバントリーダーシップ」(邦訳2008年)の第8章
には。ヘシェルへの友情にあふれた評伝が掲載されている。

・やがて社会に出て、他人に使われる立場となる学生に、グリーンリーフは彼らの成長と向上を後押しするために存在する大学において、受容の精神と謙虚な姿勢でこの貴重な日々を送るようにとエールを贈りました。

信頼―高い価値の一面
・グリーンリーフは、学生達に大学で理事会の機能を学ぶ効用を説きました。グリーンリーフは、この講演の20年前に大規模な大学の学長から、学生に対する責任の主体は自分ではないということを直接聞かされて、そのショックから立ち直れないというエピソードを引きながら、大学の運営と機能の発揮に不可欠な理事会に注意を向けるようにと説いたのです。
・多くの理事会が「知性や価値観、訓練、判断力、経験、つまり信頼される立場に立つのに必要なものを持つ人々がするべきことをしない」ことに、グリーンリーフはアメリカの民主主義制度の危機すら感じています。これを長続きさせるには、「理事会として卓抜した行動」が必要だと訴えました。

・グリーンリーフは組織を「信頼を実現する手段」と定義しました。組織における個人の貢献のほとんどは、「信頼の実現」という視点から判断されると説明しています。
・さらに組織の中の人間関係が、相互監視と圧力型かそれとも「組織を活気づけ、ずば抜けたレベルの活動を可能とする精神(エスプリ)があるかと問いました。組織においてエスプリと関わる要素は「目標」であり、その目標への到達する経路と方針が「戦略」です。目標と戦略の合意が組織の強さの源泉ですが、大学や教会等理想主義的な志を掲げる組織では、これらの合意が確実にできていない傾向があると訴えました。

・グリーンリーフは学生たちに、理事会が高いレベルで機能するために、その対象としての組織、つまり学生たちの大学の組織に強い関心を抱くようにと強く勧めました。そして、その経験は将来に生きてくると付言しています。

・さらに大学の組織を見るときに、責任者の視点で見てみることを勧め、また同時に大学が「個人として際立って素晴らしいと言えるレベルに達している、信頼に値する人を探している」ことに言及しつつ、「いつかはそう言う人材になるのだ、と自分のことを考えてください」と学生たちに訴えました。

現実主義―まっすぐ見て、誠実に対処する
・大人になる、すなわちある程度の人間としての成熟することで、人は社会の性質を予測できようになりますが、グリーンリーフは「度が過ぎるぐらい楽観的になって、(楽観的な予測がもたらす)不満を甘受することが必要」と述べています。

・グリーンリーフはこのことについて、思想的には保守主義者であったギルバート・K・チェスタトン(注)が1924年に、やっかいなことは世界が不合理でも合理的でもない、おおむね不合理であり、人生は明確で規則的に見え、正確さの中に不正確さが隠れているという趣旨の一句を引用しました。
(注)ギルバート・キース・チェスタトン(1874年5月29日-1936年6月14日)、英国の作家、詩人、批評家。ブラウン神父シリーズで推理小説家としても有名。

・問題の明快な解決策が見当たらない中であっても課題に創造的に取り組むようにとグリーンリーフは学生達に説いていきます。そしてエマソンが「世の中で最も大きな改善の力となるのは何か」と自問して、それに対して「自分中心な押し売り的行為だ!」と結論付けた理由を考えてみるようにと学生達に問いかけました。

不安―不安を抱えて生きられるようになる
・グリーンリーフは、現代について不安の破滅的な影響を自覚しながら、それを軽減する努力をしている時代と定義しました。不安は社会の仕組みのあらゆる面に浸透し、またその不安は優秀な人々によって、「善意から利用されている」とも言っています。

・しかしながらグリーンリーフは、不安は人生にチャレンジをもたらすものであり、ただ排除するものではないと言います。グリーンリーフは自分自身を世の中と深くかかわる「外面的な私」と内側から見た本質的な「内面的な私」があると言います。そして外面的な私の世界の不安は絶えることはなく、本当の平安はただ内面的な私、つまり内なる世界にのみあるとしました。心の平安があってこそ「世の中の混乱や衝突に、活力に満ちて対処」しうるのです。

・グリーンリーフは、「私は、内面の世界を現実としてとらえ、自分の外にある世界については不自然で一時的なもの」と自覚し、「どんなに立派なものであれ、そとの世界で成功するより、驚き、感動する力を伸ばそうとするほうが、優先順位が高」いと語りました。そして聴衆が学生であることを考慮したのでしょうか、驚嘆とは不安とは異なり、「知識の種」であり人を積極的に学ばせる原動力であると補足しました。

課題は多いが不可能ではない
・グリーンリーフの講演もまとめに入ります。彼は学生達に今後三年間の過ごし方についての注意を促し、たくさんのなすべきことがあるが、できない課題ではないと激励しました。そしてそれを阻害するものとして、時間的な重圧や多くのことに気を散らすこと、そして大学という組織が一人一人の学生の成長に完全には寄り添ってくれないことからくる不安を挙げました

・グリーンリーフの話を聞いている学生たちは、どうすればよいかどうかという疑問を抱いたことでしょう。このことに対してグリーンリーフは、「自分自身に関する信念を、自分で明らかにするよう、ぜひお薦めしたいと思います」と先を見通せない不安の中で信念をもってチャレンジすることを推奨しました。

・グリーンリーフはこのことを伝えるために、トルストイ(注)の「人生の唯一の意味は、自分の内にある光に導かれて生きることにある」ということばとロバート・フロストの先ほどの詩の一節、「自分の後ろに梯子路を引っ張りこんで 私以外には、すべての人に“通行止め”の札を出せ」を言う言葉を引用して、それそれば信念に沿った道を進むように学生達を激励しました。
(注)レフ・トルストイ(1828年9月9日-1910年11月20日)、19世紀ロシア文学を代表する作家。

この大学―あなたの研究所
・グリーンリーフは学生達が学ぶ大学はよい大学であると言いました。その良さは教授陣、経営者、理事会、学生の四つすべてのグループが高みを目指してイニシアチブを発揮することで高い価値が最も確実に実現すると語ります。

・これからの時代、傑出した大学は社会に大きな影響をもたらすようになるとも語り、学生達には学問的な能力の向上に加えて、社会が依存してくるような組織を築き、奉仕し導く上で目を見張るような活躍をする準備に学生時代から手を付けるようにとアドバイスしました。そのために、聴衆である大学一年の学生達にこれから三年間、「この大学の中で、分別のある、効果的な影響力を持つ人になるという仕事を引き受けてください」と訴えました。

・そして、講演の最後を次のような言葉で締めくくっています。「今後の三年間に対するチャンスとして(中略)この課題を引き受けたら、最高の日々を過ごせるでしょう。その経験によって、芯の通った価値ある生き方をその後の人生で実践することになり、やがて夢も実現できるでしょう」というメッセージです。

【参加者による討議】
・「重要な社会的貢献のなかには、創造的な才能をささやかに、しかししっかりと育んだ個人によってなされる(後略、日本語版p.178)」と書かれているが、なぜささやかに育てるなどと控えめな表現になっているのだろう。創造性ということばからは、例えば、答えは一つではないことや価値観の多様性といったことが連想されるのだが。

・一つの切り口として貧困家庭の子女に教育を与えるためのファンドを考えたい。貧困家庭に援助を与えることは必要だが、すべてを満たすだけ与えることは現実にはできない。何が重要で、その順番に援助することが必要かを想像する力が必要。支援の元手に限界がある中で最初に必要なのは、教育を受けたいという意欲を育てること。そこから次の教育支援につなぐというバリューチェーンを築いていく。このバリューチーンを築く創造力が社会貢献の源になる。

・創造性に関連して、昨今、イノベーションということばについてよく聞かれるようになった。多くの組織、おもに企業で、イノベーションが重要だとか、イノベーションを促す活動をどうのこうの、といった語られ方をしている。イノベーションについて、世の中の印象では何か大きな、一発で人や社会の行動様式を変えてしまうような発明のことと捉えられがちである。実際には普段、周囲からは直接目に見えないような現場での小さな工夫がイノベーションの源泉だ。良い組織は、その小さな工夫を積み重ねて大きな成果を得る。

・スティーブ・ジョブズの活躍などもあって、超人的な個人の創造性がイノベーションを生むと考えがちだが、彼のイノベーションも組織力があってのもの、創造性を育んだ個人が集まる組織の創造性によるものだと思っている。

・大学一年生の段階を終えた学生向けの講演ということもあって、グリーンリーフに特有の裏に意味がある複雑な表現は少ないが、その中で、「私は、内面の世界を現実としてとらえ、自分の外にある世界については不自然で一時的なものとしている(日本語版、p.194)」という箇所は本当にわかりづらい。

・大学生とはいえ、直前まで高校生だった人たちが聴衆だ。それまでの受け身で教わる立場から大学生として自分でトライする立場になってはいるが、学生としてその立場にいられるのは残り3年。グリーンリーフの講演を理解し、本当の意味で主体的な実践に移すのは難しいだろうなあと思った。

・東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の院長でもある上田紀行先生が、最近の若い人は正解を歓談に出せる法則や方程式を求めがちであり、あるいは心理の理解のないままにどう行動すれば良いのかという結論を求めがちであると語っている。そして、最近の学生達に自分の中に答えを見つけるようにと指導しているという話をしていた。グリーンリーフとも強い絆で結ばれているスティーブン・R・コヴィーは、彼の主著である「7つの習慣」を晩年に「8つの習慣」に改訂したが、8つ目の要素は、voice、心の声を聴けというものだった。

・自分は金融機関を辞めて家業である製造業を継ぐべく勉強中である。前職では仕事のマニュアルがしっかりしていたが、現職はマニュアルも引継書もない世界、自分で経験して考えないとできるようにならない仕事である。そうした環境は常に自分の仕事を振り返り、自省させていく。マニュアルが整備されていれば、見逃すような小さな手順にも、その手順の意味や意義を考えるようになった。

・勤務先の社内意識調査などでも明確になってきているが、若手社員が自分で企画を考えて挑戦していくということが減少している。仕事のあらゆるところで箸の上げ下げまで指図されることが当然のことという意識になっている。自分の内なる気持ちを大切にすることが減っているように見受けられ、我慢も足りないように感じる。

・仕事については、世の中も効率と速度を過度に重視している。早々に結果を出さねばならず、後進に権限移譲してやらせた仕事も、結局、また自分が取り上げて・・・、ということのしばしば起きている。

・会議の生産性向上を図るように指示されているが、その結果、会議で十分な議論を尽くさずに結論を出すという悪い形になっている。

・最近、唯識(ゆいしき)に興味をもっていろいろ勉強している。人間の五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)の別の層に「意識」があり、さらに別の層に末耶識(まやしき)、阿頼耶識(あらやしき)という無意識の感覚があり、これら八つで人の心、認識が過多続くられる。人々が共通して持つ阿頼耶識もある。その中で目指すべきは自分の阿頼耶識に良い種を増やしていくことである。このことと本日会読した小論の主張が重なっていると感じた。

・山川草木悉有仏性(さんせんそうもく、ことごとくぶっしょうあり)ということばがある。自然のすべてに仏が宿っているという意味だが、自然のすべてに仏、つまり神が宿っているというのは、自然を見る人間の心のありようが決めることだと思う。グリーンリーフのこの内面と外面の説明も通じるのではないか。

・知識、知恵、知性を言うことばが出てきた。知識は情報でありいわばハード、知恵は情報を使いこなす能力でありソフト、では知性と何か、ということを考えている。

・知性そのものの定義ではないが、知性の土台として倫理が確立されていることがありそうだ。

・今回の会読は大学生1年生向けといいながら、たくさんの示唆があった。一言でいえば、直観と理性のバランスがリーダーシップに必要ということにまとめられるだろうか。

・その上で、「運も少し必要です(日本語版、p.185)」とも書かれている。妙に納得した(笑)(注)
(注)成長を妨げる依存症や生活破綻の危険を回避するために聡明さが必要と語った個所。

ロバート・K・グリーンリーフ著「サーバントであれ 奉仕して導くリーダーのあり方」(英治出版)の第7回東京読書会は、2019年1月25日(金) 19:00~21:00、レアリゼアカデミー(麹町)で開催予定です。