西川氏は96本の映像を撮ってきましたが、ご自身が顧客として感動しないと取材しないそうです。
その基準の一つは、CS(顧客満足)が高い会社です。
例えば、スーパーであれば、「○○という塩はありますか?」と珍しい商品があるかを尋ねます。
大体はそこで、「ありません」と答えます。
ときどき、一緒に探してくれるスーパーもあるそうです。
ただ、いい会社というのは、皆で大騒ぎして探してくれ、他社のスーパーにまで電話して聞いてくれるのだそうです。
そういう会社はお客さんをいつも見ているということなのですが、そんな会社は200社に1つあるかないかだそうです。
そして、経営者の出社前から張り込み、晩まで取材するそうです。「お客さんが選ぶ理由」を撮れるまで、対象を徹底的に取材するのです。
カメラは真実を映します。
見掛けはきれいでもバックヤードがぐちゃぐちゃだったり、後ろでおしゃべりしていたり、ということも分かってしまうのです。
成功について書かれた本は多いですが、未だに多くの人は成功について模索しています。
一方で、映像はインパクトが大きく、それを見て元気になったり、何かヒントになるとうれしいと西川氏は思っているそうです。
ところが、CSに取り組んでいるという会社でも、実はCSやらされ病の企業も多いと西川氏は言います。
会社がCSをやれと言うから、社員は嫌々「CSプログラム」をやっているというのです。
お客さんは、社員や店員のやる気や思いやりが見えるものです。
結局、いい会社はサービスがいいのではなく、スタッフのホスピタリティが溢れているのです。
また、いい会社はお客のためにとことんやるので激しく忙しいのですが、それでも社員はニコニコしているそうです。
なぜなら、その仕事が好きだからです。
多くの企業を見てきて、伸びていてもギラギラしている会社はいつかダメになり、働く人が幸せな会社、つまり働いている人の目がキラキラ輝いている会社こそ、伸び続けられるいい会社だと気づきました。
ここで、実際にDVD映像の抜粋を見ました。
「ヨリタ歯科クリニック」は、子どもが「行きたい」と思う歯医者で、様々な取り組みをしています。
ここでは、院長は口出しせず、現場に任せてくれるので、スタッフ皆がイキイキと働いていました。
「ネッツトヨタ南国」では、一度でも指示するとスタッフは上を見て働くようになるので、指示・命令をしないそうです。
皆が自分で考えて動き、多数決ではなく、徹底的に議論するのだそうです。
結局、従業員がイキイキと働くということは、ES(従業員満足)が高いからですが、そのESに影響を与えるのはCSだと西川氏はいいます。
つまり、お客様からの感謝(CS)があって初めて、従業員が金銭以外の報酬を受け取り、ESが高まるということなのです。
また、いい会社の中間管理職は存在感がない、ともおっしゃいます。
本人がサーバントであり、皆が嫌がることを率先してやるから、偉そうな雰囲気がないのだそうです。
しかも、いい会社のトップや管理職は、従業員に対して職場を「セーフティの場」(安心、安全な)にしているという特徴があるのです。
結局、いい会社は人間尊重の考えが徹底していると西川氏はくくりました。
西川氏ご自身も経営者として、社員がイキイキ働くことに真剣に取り組んでいらっしゃるそうです。
そこに伸び続けるいい会社の原点が見えた気がしました。